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レートー()は、ギリシア神話に登場する女神である。ローマ神話ではラートーナ()。ティーターン神族のコイオスとポイベーの娘で、アステリアーと姉妹である〔ヘーシオドス、404~409。〕。ポーロスとポイベーの娘という説もある〔ヒュギーヌス、序文、140。〕。ゼウスの子アポローン、アルテミスを生んだ〔ヘーシオドス、918~920ほか。〕。日本語では長母音を省略してレトとも呼ぶ。 レートーは黒衣をまとい、神々のうちで最も柔和な女神といわれる〔ヘーシオドス、406~408。〕。しかし、実際の神話では、自分に楯突いた農夫を蛙に変える、自分を中傷しさらに祭祀を妨害したニオベーに対しても、本人ではなく何の関係も無い子供たちを皆殺しにする(しかも子供の一人は殺される直前、オリンポスの神々に助けを求めていた)など、残虐な所業の方が目立つ。鶉に変身したゼウスとの間に子アポローンとアルテミスを生んだが、そのためヘーラーの激しい嫉妬をかったとされる。 なお、子供たちは2人とも母親の残虐な気質を受け継いでいる。 == 神話 == ===アポローンとアルテミスの出産=== アポローンとアルテミスの出産の経緯については諸説ある。ヘーラーはレートーがゼウスの子を身ごもると、すべての土地にレートーに出産する場所を与えてはならないと命じ、イーリスとアレースに土地が命令に背かないように監視させた〔カリマコス『デーロス島讃歌』65以下(沓掛訳『ホメーロスの諸神讃歌』訳注、p.166より)。〕。あるいは太陽が一度でも照らしたことがある場所で出産してはならないと命じ、さらに蛇のピュートーンがレートーを追い回した。というのは予言によって、レートーの産む子が自分を殺害すると知っていたからである。〔ヒュギーヌス、140。〕。このためレートーは出産できる土地を求めて放浪しなければならなかった。またヘーラーの命令によってティテュオスという巨人も彼女を襲ったが、ゼウスによって殺された〔ヒュギーヌス、55。アポローンとアルテミスの出産後という話もある。〕。より特殊な説では、レートーは牝狼の姿となってヒュペルボレオイの国からやって来て出産したという〔アリストテレース『動物誌』6巻35。〕。 ある時レートーはリュキアに立ち寄り、池の水を飲もうとすると、そこの村人たちがそれを止めようとした。レートーは反論するが、村人たちは池に足を入れて泥を立たせ、水を飲ませまいとした。怒ったレートーは「この者たちがこの池から永遠に離れず、生涯をここで過ごすように」と願った。すると村人たちは蛙になり、泥沼に変わった池に住むようになった。 このような苦難に耐えて、まずオルテュギアー島でアルテミスを産み、さらにアルテミスに手を引かれてデーロス島に渡りアポローンを産んだ〔『ホメーロス風讃歌』第3歌(「アポローン讃歌」)。〕。アルテミスはそのとき助産婦としてレートーを助けた〔アポロドーロス、1巻4・1。〕。より新しい神話ではアポローンとアルテミスはデーロス島で生まれたとされ、その場合、オルテュギアー島とデーロス島は同一視される。ヒュギーヌスはレートーをデーロス島に連れて行ったのはゼウスの命を受けた北風ボレアースで、ポセイドーンが彼女を保護し、ポセイドーンはヘーラーの言葉に違反しないように、デーロス島を波で覆ったという〔ヒュギーヌス、53、140。〕。 こうしてレートーはデーロス島のキュントス山に背もたれして、シュロの木(オリーブとも〔ヒュギーヌス、53、140。〕)のそばでアポローンを出産した。ヘーラーがエイレイテュイアを引き止めていたために、9日9晩にも及ぶ難産だった。それを見かねたイーリスがエイレイテュイアを連れて来た事により、出産は成功した。この出産にはディオーネー、レアー、テミス、アムピトリーテーなどの女神が立会い、アポローンが生まれると彼女らは歓声を上げ〔『ホメーロス風讃歌』第3歌(「アポローン讃歌」)。〕、大地は微笑み〔テオグニス(沓掛訳同書訳注、p.167より。)。〕、天空には白鳥がめぐった〔カリマコス『デーロス島讃歌』251~254(沓掛訳同書訳注、p.169より)。〕。アルテミスは出産時、母に苦痛を与えなかったので、産褥に苦しむ女性の守護神となった。アポローンは生まれるとピュートーンを殺したとも、ヒュペルボレオイの地に運ばれたともいわれる。デロスはレートーの身悶えによって海底に根を張ったとも、海底から4本の柱が延びてきて支えられたと伝えられる〔ピンダロス断片78~79(沓掛訳同書訳注、p.165より)。〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「レートー」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Leto 」があります。 スポンサード リンク
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